五郎:ところで、タイのお金持ちの話ししようよ。
ソムチャイ:イヤです。自分のところはすごい貧乏でしたから。
五郎:そう言わないで・・・。文化トークなんだから。
ソムチャイ:私の家は五郎さんも知ってのとおりで、農家でしたから父と母が病気
になるほど働いて、兄と私を大学まで行かせてくれた。大学にお金持ちの家庭
の子はいっぱいいたけど、友達にはならなかったですね。
五郎:なんで?
ソムチャイ:ちょっと、話しにくいですね。正直、ヒガミもあるかも知れませんけど。
五郎:どんな事だったの?
ソムチャイ:貧乏な学生はお金持ちの子から時々、お金を貸してもらうことがあり
ます。だけど、返せない。元々がないからですけど・・・。お金持ちの子は催促
はしない。カフェに行っても、食事に行ってもおごってもらうばかり。
五郎:友達の間でお金の貸し借りは日本でもみんな避けるけどね。お金は魔物だ
からね。タイの場合、金銭関係が分かりにくいんだな。
ソムチャイ:タイのお金持ちの子は「返してくれ」って言わないのが金持ちの証拠、
見たいなとこあります。だけど、いよいよとなったら、ヒットマン使うことアルから
恐いですよ。
五郎:ほんとッ!・・・そうか。
ヒットマンも5万バーツから雇えるというウワサ聞いたことあるけど。借金の踏
み倒しの「返礼」がそれではね・・・。
ソムチャイ:だから、お金を返せない人はお金持ちのボンボンにオベッカ使ったり
して仲間に入ってるんです。正直、ぞっとします。
五郎:う〜ん。・・・・。
タイのお金持ちって言うと、何かケタが違うっていう感覚を持っちゃうけどな。
ベンツを2台も3台も持って、それもドライバー付きで。住み込みのメイドさんも
いて、大きなお屋敷に住んで・・・。
ソムチャイ:日本人のお金持ちとタイ人のお金持ちを比べたら、勝負になりませ
ん。日本は何と言っても世界第二の経済大国ですから。個人所得もタイ人の
お金持ちとは比べものになりません。
五郎:でも、タイではお金持ちが何かと目立つよね。
ソムチャイ:タイ人はともかく目立ちたがるんです。「私はお金持ちだよ」って、見せ
びらかし、って言うんですか。
五郎:確かに、日本のお金持ちは静かに目立たない程度に、上手に暮らしている
というのはアルかもしれないナ。他人に金持ちぶったりはしない。一般人と普
通に付き合いもする。だけど、決して同化はしない。日本の金持ちは明治以来
スタイルを変えていない。
ソムチャイ:タイ人は逆です。貧乏人が多数派ですから、お金持ちは目立ちます。
それに王族以外の民間人がお金を持つようになった歴史も浅いです。
五郎:タイでお金持ちというと、どういうイメージになるのかな?
ソムチャイ:仕事は何もしなくても、一生遊んで暮らせる。メイドは2・3人、ドライバ
ー付きの乗用車は家族の人数分の台数。プールと芝生のアル中庭・・・。
それでいてケチ。
五郎:なるほど。日本と同じかな。