五郎:タイの親達、特に富裕層や、いわゆる特権階級に属するような人たちが
子供を学校に車で送り迎えしている話は分かったけど、そこまで大事にさ
れて育った子供達がタイの国政や社会のトップ層、指導層になっていくの
かな?
ソムチャイ:そうです。タイではその辺はハッキリしています。私から見ると、ワ
ガママいっぱいに育った連中が、大人になってそのままワガママいっぱい
しているように思うときがあります。
五郎:階層分化してるのかな?矛盾はないのかな?
ソムチャイ:アルとは思うんですけど・・・、実際私は余り納得してません。
だけど、タイはずっとそれでやってきたんです。エリートはエリートの家に
生まれ、エリートになっていく。学歴は日本以上に重要視されてると思いま
す。「大学卒業以上」という限定で求人している企業も少なくないです。
五郎:表に出して採用条件にしてるの?
ソムチャイ:そうです。中学しか卒業していない人もいっぱいいますから、そう
いう人たちには門前払いですね。能力に関係なく。
五郎:日本では一応、表向きは学歴とか、性別、年齢を採用条件にしてはいけ
ないことになっている。実際のとこは別だけどね。日本はタテマエ社会だ
から。
ソムチャイ:タイだってタテマエは好きです。表向き良いこと言うのはタイ人の
得意とするところですから。タイが救われるのは、富裕層でない人たちが
「勉強・勉強」「良い学校・良い学校」と子供達を攻めない点ですね。
五郎:教育ママはいないのかな?
ソムチャイ:ゼロではないでしょうけど・・・、いませんね。日本のように小学校
や中学から学校に行きたがらない子はいません。高校や大学でも子供達
の自主性と親の経済力で決めてます。余り背伸びはしてませんね。
五郎:それでも、田舎からバンコクへ内地留学させている親もいるって聞くけ
ど・・・。
ソムチャイ:高等教育させようとしている親はいます。お金があれば、の話で
すけど。最近はただ大学を卒業したくらいでは一流企業には就職できない
ケースが増えてます。
五郎:どうするの?
ソムチャイ:大学院に行ったり、外国留学したりですね。
五郎:益々お金がかかる仕組みか・・・!ソムチャイさんみたいに日本へ留学
する人は?
ソムチャイ:いますけど、少ないです。アメリカとかオーストラリアとか、英語圏
ですね。日本よりフィリピンの方が良いという人もいます。
五郎:う〜ん。分かるような気もするけど。
ソムチャイ:小学生や中学生の場合は学校はタイではやはり楽しいところです
ね。行きたくても家計が許さない子が多いことは問題ですけど。
五郎:逆に「不登校」とか「ひき篭り」なんてのはないのかな?
ソムチャイ:聞いたことないです。