ソムチャイ:私のとこでも最近子供はキチンと食事しなくなってきたんです。
土曜や日曜には子供はナカナカ起きてこない。私は起こそうとするんだけど、
家内は「寝かせておけば・・・」て、取り合わないんです。どっちが日本人なんだ、
って言いたいときあります。タイでは子供をあまりしからないし、テレビも何時間でも
飽きるまで見せているとこ多いんです。食事のときもテレビつけてるんですね。
私は時々カンシャク起こしてテレビを消しちゃいます。「食事のときくらい顔を見て食べろ!」って。
五郎:我が家は子供が独立して家を離れてるから、いつも一人の食事だ。
家族一緒の食事したのは何年前だったか・・・?
何か記憶に無いくらい昔だ。聞いて見るとどこもバラバラ見たいだね。
家族揃ってお食事しているのはテレビドラマの中だけ・・・、みたいだな。
昔、アメリカのテレビドラマで『大草原の小さな家』という番組あったの知ってる?
ソムチャイ:知りません。いつごろの話?
五郎:むかし。もう20年以上前。
西部開拓史に残る実際にあった話をドラマにしてるんだけど、
家族に降りかかるさまざまな困難を家族の強い絆と勇気で乗り越えていく・・・、というやつ。
感動もんだったね。家族が力を合わせないと乗り越えられないような貧乏や困難が日本にもあったころだよ。
いつの間にかこのドラマは番組から消えちゃった。ほんで、ある時テレビ見てたら、
アメリカの特集で「大草原の小さな家」遊び、というのが流行っているというのが流れててね。
アメリカでは『家族』はとっくの昔にバラバラ、崩壊しちゃった。
みんな、昔をなつかしんで家族で一日だけ「大草原ゴッコ」するという話し。
今、日本はアメリカが歩んだ道を確実に後追い中だ。
ソムチャイ:その日本をタイが更に追いかけているというところでしょうか・・・?
五郎:いや、違うね。
良くも悪くも、タイは未だ近代化の途上だ。問題はおき始めてるだろうけど、
子供が親と一緒に正常な暮らししてると思うな。
ソムチャイ:え〜ッ。正常っていうのは分からないな。
五郎:親が子供をかわいがり愛して、子供が親を尊敬する。これが「普通」のことだよ。
日本では食事がバラバラになって、親子の愛情もバラけた。親が子供を殺したり、
子供が親を殺したり。本当ならこれって異常だよ。だけど今の日本じゃ異常じゃない。
ソムチャイ:う〜ん。タイではありませんね。子供が親を殺すというのは聞いたことがないです。
確かにタイでは未だ食事はお皿に盛ってみんなで食べてますね。同じおかずを分け合ってます。
「それ、こっち回して」って感じです。
五郎:それだよ、それ。